テレビ会議のVTVジャパン 社員ブログ

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【連載】テレビ会議を快適にしよう その3

ヒアリングからテレビ会議が快適じゃない理由は、人的要因の他にシステム的要因もありそうだということがわかった前回の打ち合わせ後、現象が再現すると思われる会議を早速録画してメンバーそれぞれで確認して意見を持ち寄ることになりました。

(→ 詳細は前回を参照ください

ということで、今回はシステム的要因のお話です。
少々、長いのでお時間あるときにゆっくり読んでください。

 

音が途切れる原因をマイクの特性から考える

 

「想像以上にとぎれてましたねぇ・・・」

今回も、録画データでばっちり不快な音の不具合が確認できました。

いつも東京側から参加しているメンバーは、それなりにショックだったようです。

「特に気になったのが、5分14秒くらいです。
Y君が話し始めたときに、何かちょっとした音がして、その後、Y君の声がボリュームを落としたかのように下がりました」

「それ、私も気づきました。Uさんがボールペンをカチカチ鳴らしたんですよ」
前回の紙をめくる音の時と同様に、テレビ会議越しだと、同じ会議室内で聞くよりもずいぶん大きく聞こえます。
しかし、Y君の声はボールペンの音に負けた、というよりは急に小さくなったという印象です。

ここで技術顧問のO先生の手が挙がります。

「この現象は私も気になったので、技術戦略チームにお願いして、今回利用しているA社のマイクの仕様を確認しました」

弊社の技術戦略チームは、各製品の仕様やビジュアルコミュニケーション関連の技術情報をまとめている、弊社のいわばラボ的な部署です。

「A社のPODマイクには3つの小さなマイクが内蔵されていて、自動的に話者に近いマイクを有効にし、その他のマイクからの入力を抑えるBeamforming(詳細はこちら)という技術が使われているようです」

A社マイクの集音範囲を示す資料を見ると、ほぼ360度をカバーする設計であることがわかります。

「2つのマイクをカスケード接続しているので、合計6つのマイクが存在します。
Y君が話をしている時はY君の近くのマイクがONですが、Uさんがボールペンの音を立てると、Beamforming機能でUさんの近くのマイクがONになり、Y君の声をとらえていたマイクの音量が下がる。
しかし、ボールペンの音がしなくなっても、Y君の近くのマイクにフォーカスがなかなか戻らない。ほんの数秒ではありますが、その間、Y君の声は非常に聞き取りづらくなる。
この5分14秒前後で起こっていることは、こういうことではないかと思います」

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ざっくりと絵で書くと、こんな感じで切り替わっているようです

 

「なるほど。それでY君の声が小さかったり、途切れるように聞こえていたということですね」

大阪側のSさんが腑に落ちたように肯きます。

「人間の耳は非常に優秀で、会話に関係ない音を自然とカットすることができるんですが、システムにはまだそこまでの機能がついていないので、これは人間が注意するしかないですね。

不用意な音で、まじめに働いているマイクを惑わさないように(笑)」

人が話している時には、余計な音を立てずに静かにするよう気を配ること。この辺りは通常の会議でも気をつけるべきマナーかもしれません。

 

会議を快適にするはずの機能が悪さをする?

 

「それにしても、以前よりこういったことが増えた気がします。

それに人によってエアコンの音がザアーって入っているように聞こえる問題は、どういう理由なんでしょうか」

最初に不満を感じていたKさんは、まだ納得がいかないようです。

「特に全体会議だと、TさんとかOさんが話しだすと、ザアーって音、しません?」

大阪のKさんの発言を受けて、動画を再度確認してみます。
あ、ほんとにTさんとOさんの発言時だけ、ザアーって音が入ります。

「あの、これって、もしかしてオートゲインコントロールが悪さしているんじゃないでしょうか」

大阪のSさんが思い当たったように発言しました。

オートゲインコントロールですか?
あの、遠くの人の声もきれいに聞こえるように、自動的に音量調整を行う機能の?」

会議を快適に行なえるよう、テレビ会議システムにはマイクで集音した音をそのまま相手に伝えるのではなく、様々な機能で調整を行った後の音が相手側に聞こえるようになっています。

オートゲインコントロール(AGC)は簡単に説明すると、マイクから遠い人の声や、声の小さな人の会話等を、少しレベルを上げて聞きやすくしてくれる機能です。
AGCの詳しい説明はこちら

現在発売されている有名テレビ会議メーカーの製品には、必ず搭載されているスタンダードな機能です。今回のメンバーもこの機能を知らない人間はいません。

「A社のMCU(多地点接続サーバ)を利用した会議が特に気になるってこの間も言いましたけど、同じ会議室から同じ製品で接続しても、B社のMCUではそんなことはないように思います」

営業のサポートで様々なメーカーの製品に触れる機会の多い、大阪のSさんならではの感想です。

「確かに、小さい声を無理やり音量を上げるとエアコンの音も一緒に大きくなるでしょうし、こんな感じに聞こえそうに思いますね」

O先生もうなずいています。

確かに、Tさんはうつむき加減で話す癖があり、Oさんは元々声が小さい。

「サーバを管理しているのはサポートチームですね。Kさんに協力してもらいましょう」

 代表の一言で、早速サポートのKさんを招集しに向かいます

 

サポートのKさんは、テレビ会議のサポート暦20年超のベテラン社員です。各メーカーのMCUに精通しています。

「A社はマイクの集音性を重視しているのか、元々、他社と比べてゲインが高い特長があるんですが、先日リリースされた新バージョンから、さらにゲインがあがったように感じています」

Kさんの話によると、実は今回のバージョンアップで、とあるユーザがエアコンの音がうるさくなったと訴えていて現在対応中だといいます。

「メーカーの推奨では、オートゲインコントロールはONなんですか?」

「はい、メニュー自体にオートゲインコントロールのON/OFFがなく、OFFにするには隠しコマンドを使います。ユーザはMCUオートゲインコントロールが入っていることもご存知なかったですね」

A社は音声の快適さに定評がある分、このあたりの調整には自身があるのかもしれません。実際に、以前より聞きやすくなったというユーザもいるようです。

「トラブルが出ているユーザの会議室は、ひょっとしてうちの会議室と似ているのかな?」

「そうですね、エアコンの位置や会議室の大きさはほぼ一緒です」

その上、窓が大きく、夏場はエアコンの効きが悪い上に、開催されるテレビ会議はいつも大人数。部屋が冷えるまで結構な風音がするとのこと。言われてみれば、確かに今回の会議室と似ています。

会議を快適にするためにスタンダード化されている機能が、会議を不快にするとはなんとも寂しい話です。しかし、試してみるべきことははっきりしました。

MCUのオートゲインコントロールをOFFにして、聞き比べを行いましょう。
どうせなら設定を変えた会議をそれぞれ行い、全社アンケートをとりましょうか」

「全社アンケートですか!?」

「音に関する感性は人それぞれなので、データは多い方がいいでしょう。意見が割れることも考えられるし、私たちだけだとここまで話した内容から思い込みが入るかもしれません。早速、来週と再来週の全体会議で実施します」

こうして、代表のアイデアで、会議の音に関する全社アンケートが実施されることになりました。

サポートのKさんやO先生のアドバイスもあり、MCU側の音声プロトコルもデフォルト設定のG.722.1 Annex Cから、AAC-LCで変えてみることになりました。

現在のこもったような音がクリアになる可能性が高いとか。 

「あ、一つご忠告があります」

Kさんに肩をたたかれます。

「端末側にも音声プロトコルの設定があります。全部そろえないとMCU側で設定しても端末の設定に引きづられることがあるので、端末の設定統一もお忘れなく」

おっと! 聞いておいてよかったです。

 

設定を変更するだけで環境は改善する

 

全体会議は毎週月曜の午前に開催されます。この時間を2週続けて使って、MCUのオートゲインコントロールのON/OFFを社員全員に聞き比べてもらいました。 

実施テストは以下の内容です。

 

第一週目:

MCUのオートゲインコントロールをOFF、音声プロトコルAAC-LDに統一

第二週目:

MCUのオートゲインコントロールをON、音声プロトコルをG.722.1AnnexCに統一

 

各参加会議室で利用するテレビ会議の接続状況画面で、音声プロトコルが揃っていることも確認して、アンケート用紙を配布。事前に実験の意図も伝えます。

アンケート用紙の余白には、気づいたことを書き込んでもらうようお願いしたところ、結構コメントが集まりました。
皆さん、音の不調については、いろいろ感じていたことがあったみたいです。

 

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実際のアンケート用紙。コメントも参考になりました。

 

さて、結果を集計してみます。

AGC+プロトコル AGC ON / G.722.1 AnnexC(基本設定) 

 AGC OFF / AAC-LD(メンバー推奨)

 エアコンの音は気になる? Yes: 12名 No: 8名 Yes: 2名 No: 20名

 

声の聞き取りやすさについては、目安としたかった肝心のUさん、Oさんが発言しなかったりして、テストの意図を理解したTさんが大きな声で話してしまったりと、少々、期待通りとはいきませんでしたが、“エアコンの音が気になる/気にならない”という設問については、結果ははっきりと出ました。

 

「では、”社内会議で利用する場合は、MCUのAGCをOFFに設定する”を、デフォルト設定としましょう」

AAC-LDの方が声がクリアに聞こえたというコメントも多かったため、社内会議用のサーバと端末はAAC-LDに統一というルールも加わりました。

普段は長所であるメーカーの特性が、環境や条件が重なると短所になることがあるとは。今回は勉強になりました。

 

こうして、システム上で調整するべきポイントは見つかり、ある程度の音響環境の改善は図られました。

しかし、今回の「実はテレビ会議が苦痛」問題。

やはり人的マナーについても、この機会にきちんとまとめて社員に共有するべきであるということは、メンバー全員の総意です。

 ついついやってしまいがちな「テレビ会議が不快になる人的要因」についても、この機会にルールをまとめることになりました。

 

次回は12/9頃、更新予定です

 

今回登場した用語も載ってます。O先生責任監修のテレビ会議用語集!

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